HIFIMAN & UM RE1000 購入1年レビュー
ポタフェスレポートの後半戦がまだ残っておりますがそちらは少し後回しにしまして、カスタムのレビューです
といいますのも、わたしの記念すべき初のカスタムイヤホンとしてオーダーしたRE1000が手元に届いたのがちょうど1年前だったんです
要するに今日でカスタム着弾1周年というわけです
なんの気なしに過去のブログ記事を漁っていたらこのことに気づき、ネタが舞い込んできたぜと大急ぎで打ち込んでおります
イケメンすぎ pic.twitter.com/5XnMrdfbkW
— たろ (@Ultimaudio) December 20, 2016
こいつが届いてからというもの、来る日も来る日も使い続けてきましたがもう1年ですか
現時点での合計再生時間は1,000時間を優に超えていることと思います
付き合いの長さで言えばまだ他の機種があるものの、間違いなくこれまでで一番惚れ込んでいるイヤホンと言えます
そんなわたしの愛用カスタムを改めてレビューして再度この子の良さを広めるとともに、ちょっとした注意事項も一緒にお伝えしていこうという試みでございます
到着してすぐとその半月ほどあとの2回に分けてファーストインプレッションとしてのレビューを投稿しておりますのでよろしければこちらもご覧ください
目次
おさらい
まさかRE1000を知らないなんて人はいないとは思いますけど、念のためスペック諸々を軽くご紹介します
RE1000はHIFIMANの手掛ける唯一のカスタムイヤホンになります
ドライバやチューニングに関してはHIFIMANが開発を行い、カスタム化としてのシェル作成をUnique Melodyが受け持った、両ブランドの共同製作イヤホンという位置づけになっていますが、メインはあくまでHIFIMANです
UMが作っているシェルということもあって造形は非常に高いレベルで、もちろんながらMAVERICK等の他モデル同様のクオリティに仕上がっております
フェイスプレートの形状は格好いいですし、わたしの選択したワインレッドの透明感も抜群で不純物のようなものも一切確認できません
ここに関して気になるような点は一切なく、さすがUMといったところです
内部構成としては口径9.0mmと8.5mmのダイナミック型ドライバを搭載した2DD構成で、カスタムとしては非常に珍しいモデルとなっています
D型ドライバを採用したカスタムといえばAAWの販売するA1Dが1DDのエントリーモデルとして有名かと思いますが、それを除けばほとんどがハイブリッド構成となっており、D型のみを採用したモデルでさえ数少ない中で2DDという謎スペック
2DDといいますとまず思い浮かぶのが重低音イヤホンでしょうが、HIFIMANとしては決してそういう方向性やウケを狙って作ったというわけではなく、まともな音を追求するにあたってある程度の裏付けをもとにこの構成へと踏み切ったようです
といいますのも、HIFIMAN曰く
BA 低域に弱い
BA+DD 中域が引っ込む
2DD !!!完璧!!!
ということらしく、ダイナミック型のみで構成することでドライバ同士のつながりがより自然かつスムーズで、全帯域をまんべんなく鳴らせて良いこと尽くめなんだとか
ただまあこの2つのドライバが100Hz付近の帯域で繋がれているのためフルレンジ+サブウーハーという振り分けになっているのは明らかで、どんな音になるのかは想像に難くないかと
ちなみにこの低域用ドライバの方はRE1000のための新設計なんだとか
グラフがすべてを物語っている
突然の値上がり
わたしがオーダーした時は本体価格が9万円台というカスタムイヤホンとしては驚異の低価格(?)で、その安さも購入理由のひとつだったりしたくらいでした
L側フェイスプレートにカーボンファイバーを選択した際の追加料金を加えても10万ちょっとというかなり手ごろな価格設定で、ついオーダーしてしまいました
が、価格改定で9月から大幅に値上がりしてしまったのです
お値段なんと13万と、一気に+3万円です
ここまでの値段になると普通に中堅カスタムがいくらでも存在しますよねぇ...
かなり安かったあの頃でも購入者は稀な状態だったのに追い打ちをかけるような値上げ
逆に売り上げが芳しくなかったからってことも考えられますが、理由はどうであれなおさら買い手が遠のいていくとしか思えません
知らないうちにディスコンになってたりとかありそう
国内でこそ微妙だけど海外では結構人気だったりすることを祈っておきます
試聴機が酷い
そしてRE1000に関する重大な問題がもうひとつありまして
いままでeイヤ日本橋本店、eイヤ秋葉原店、フジヤエービックの3か所の試聴機を聴いてみたのですが、個体によって音が違いすぎて話にならないのです
まず日本橋、ここのが一番まとも
というか実機に非常に近いのでこれなら聴いてもよし
でも結局不人気(というかそもそもの存在感の薄さ)からお客さんの試聴回数が少なすぎるので必然的にエイジングも進んでいないわけで、実機を受け取ってすぐの低音増し増しバランスになっています
ボワボワが欲しくてオーダーを検討している方ならまだしも、そうでないなら試聴時点で断念されることでしょう
ただこちらで試聴したのは半年ほど前になるのでその間に音が変化している可能性もあるため保証はできません
あとはご自分で確かめてください
次にフジヤ
ここのはまあ許容範囲内といった感じ
可もなく不可もなくといった具合でこれといって酷いような点があるわけではないという印象でした
低音が思いっきり主張してくるというわけでもありませんし、かといって高域特化かと言われればそうでもない
際立って的外れな音というわけじゃないのでまあいいやということにしてます
そして最悪なのがeイヤ秋葉原
店舗ごとに試聴機の音が違いすぎてクソ
— たろ (@Ultimaudio) 2017年8月22日
あきぱっぱらのは低音無さすぎシャカシャカ pic.twitter.com/6zcXLCQfqa
一番の持ち味のはずの低域がごっそりと抜け落ちていて迫力なんてものは微塵もなく、安っぽいシャカシャカとした高域だけが虚しく響いている始末
いくらエイジングで音が変わりやすいとは言ってもここまでの変化はさすがにあり得ません
ドライバ不良を疑うレベルの酷さなのでこれがRE1000の音だなんて思わないでほしいです
これもう試聴機取り替えた方がいいのではってくらいの違い
試聴した人の感想として
「思ったほど低域強くなかったし高域重視じゃね?」
みたいなツイートを見かけたときはびっくりしたものですが、やっぱり試聴機がゴミだったからなんだと納得しました
逆に購入者のレビューとしては皆さん総じてわたしと同様の感想ですので、実機は個体問わず一定のレベルを維持できているようなのでまだ良かったのですが...
それにしたって試聴機が購入如何を決めると言っても過言ではないのに、その試聴機がクソだってんならそりゃあオーダーも増えないことでしょう
話にならなくて怒りを通り越して無です
関東近郊にお住まいで試聴を検討中の方はどうか中野にてお聴きなすってください
まちがっても秋葉原では聴かれませんように...
1年間使ってみて
さてまあ購入に関わる問題点についてぐちぐち書きましたが、ここからが本題です
最初に聴いたときは余りの低域の圧によくわからない笑いがこぼれたくらいで、ドライバ構成から想像していた音をそのまま体現した非常に濃厚な音作りになっていました
購入当初でこそ低域ガンガンで低音以外にコメントしづらいという個人的ドツボだったわけなのですが、この1年使い続けた結果として何が言いたいかって
かなりおとなしくなった(なってしまった)
ってことに尽きるんです
やはりというかなんというかDDだからなのでしょうかね、エイジング効果が大きいようで音が様変わりしているわけなんですよ
購入から半月程度でも多少の変化を感じられたのでそれはそれはもう今では比べ物にならないくらいの音になってます
受け取ってすぐは破壊力抜群の低音の量感でボワボワが尋常じゃなく、わたしとしてはとてつもなくうれしかったものの、さすがにこれは人に勧めるにはちょっと厳しいなというのが率直な印象でした
しかし時間をかけてしっかり鳴らし込んでいくことで、中高域に変化が出てきました
それによって輪郭がはっきりとしてより自然な音に近づいてきているように感じます
特に高域の改善具合は目覚ましく、細やかな音も十分に表現できるようになっています
到着直後のレビューでは高域不足はリケーブルで補填などと言っていましたがその必要もなくなるくらいの圧倒的な成長を果たしています
初めでこそ低域のパワーに押されていてモヤのかかったようなはっきりとしない印象だったのですが、これこそが真の実力だとでも言わんばかりに高域の主張が強くなってきました
ただ中域に関してはもうあと半歩及ばずというくらいで、 若干遠巻きに演奏しているような印象を受けます
ボーカルや楽器の音色を重視する場合はいまひとつと感じてしまうことでしょう
とはいってもこれでもまだまだよくなってる方で、低域にマスクされていた頃を思えば十分過ぎるほどに進化したものです
本当にもうあと半歩といった感じなので、少しでも改善してくれれば大勢から高い評価をもらえるものになるのではというところまで来ています
あと半歩なんですけどねぇ...
しかし低域はと言えば、なんだか丸くなってしまったなぁという感じで、とても残念です
中域と高域の伸びとは対照的にパワーがとんでもなく弱くなってしまいました
届いてすぐの頃なんかは
「中高域ドコ...?」
ってくらいの低音しか出てないほどのバカなバランスでそれはそれはもうとてつもなく気に入っていたのですが...
低音が強いだろうと思ってオーダーしただけに残念でなりません
全体の傾向としては、ピラミッド型に近かったものが鳴らし込むにつれて高域側も少しずつ持ち上がり、所謂ドンシャリ系へと移行してきたように感じます
ただ中域に関しては成長の伸び幅が小さく、最終的には高域に後れを取る形となってしまいました
ここまで鳴らしても大きな変化が見られないということは、中音域のこれ以上の改善は見込めないかもしれません
帯域のバランス云々とは別に、初めに感じた機器の性格を反映しやすいという印象は今でも変わらず、上流機器の音の違いを素直に伝えてくれる純粋さを秘めているのは確かです
そのため、何かしらの不満があったとしてもDAPやアンプ、ケーブル等を変えることでいくらでも調整可能ですので、聴く楽曲によって組み合わせを吟味すればまた違った味が出せるのではないかと思います
現時点でDAPとポタアンをそれぞれ3つずつ持っているのですが、いろいろと組み合わせを変えて聴き比べることでそれぞれのもつ良さをしっかりと感じられるため結構楽しいです
店頭のDAPやアンプ類を試聴したときなんかもネットでのレビューそのまんまの印象を受けたりと、やはり上流側の音質傾向を上手く表現できるという点がRE1000の強みの一つになっているように感じます
わたしでこそバカみたいなブーストをかけて騒いでますけど、各々の考える理想のポータブル環境をもってすればかなりクオリティの高い音楽を奏でられること間違いなしです
最後に
普段は割と真面目な面してるけど実はやんちゃみたいなところも良いっちゃ良いんですけど、思わず顔をしかめたくなるような低音の暴力を好む身からすれば、ただの低音バカではなくなってしまったということに関して悲しさが隠せないのも事実です
一般的に見ればいい音に近づいてきているのでしょうが、わたしの求めている音はあくまで爆発的な低音の量感なのでやはり残念な感じが否めません
2つ目3つ目と立て続けにカスタム購入へ踏み切ったのもこのやるせなさからってのもあったりするのです
しかしながらやはり1年間毎日使い続けてきただけあって相応の愛着があり、これもまたRE1000の良さだろうとしっかり受け入れられています
またこれがHIFIMANが試行錯誤の末にたたき出した2DD構成によるナチュラルサウンドなのかと考えて聴いてみると、存外捨てたものでもありません
むしろ新たに迎えた低音イヤホンたちとの差別化ができるということもあってこれはこれでいいかと思っており、やはりこれからもこの子をメインに使っていくことになるのかなと思います
価格が改定されたせいでハードルが高くなってしまい、またこの価格帯だと他にも有力なモデルがうじゃうじゃと存在しているということもあってか注目度の低さは相変わらずです
モノは非常に良いだけにここまで影が薄いのもなんとも悲しいので、どうにか広告塔として頑張っていきたいのですが...
みなさんも試聴くらいしていってあげてね?