LEAR LCM-Turbo レビュー
LEAR LCM-Turbo
2つ目のカスタムになります
9月に入ってすぐにオーダーしてインプレッションが向こうに到着したのが9月10日辺り、そして完成品が届いたのがつい先日ですので納期は爆速です
インプレを受け取ってから30営業日と言われたのですが明らかにそれより早く完成していてかなりうれしいです
たろは基本的には低音重視のイヤホンにしか興味がないので新製品が出ても試聴するだけに留まることがほとんどで、その試聴すらも数秒で終えるなんてことも少なくありません
こうして購入しているということは低音に関して相応の出来だったということです
ところで
今回は話すべきことがあまりに多すぎて、雑談部分が超長文になってしまっています
レビューそのものはスペックの項から始まりますので、要点だけ知りたい方は目次からワープしてくださればと思います
目次
概要
今年の夏、秋葉原にてポタフェスが開催されたことは記憶に新しいかと思います
当時LEARはユニバーサル1BAイヤホンを新発売すると発表しており、それをメインとして出展していました
そしてポタフェス開催前には、毎度のお決まりとして大手オーディオブログが事前の情報公開を行っていたのですが、その新作と並んで企画段階のイヤホンも同時に参考展示するという旨の記事を投稿しておりました
そこでたろは2DDという夢のワードを確認
というのも、普段から一番使い込んでいるたろのお気に入りイヤホンがRE1000で、こちらの構成がと全く一緒なのです
大好きなイヤホンと同じドライバ構成となるとやはり気にならないわけがない
ということでポタフェス初日、とりあえず話題のAZLAを聴き、その後はLEARに直行です
この時点でモデル名はLUF PRO 2Dというものでした
椅子に座ったら例のシングルBAを勧められますがとりあえず断り、まずは本命をと思って聴きました
そしてその時の感想
やべぇwww
— たろ (@Ultimaudio) 2017年7月15日
LEARの2DDクソブリブリやwww
これ欲しすぎる
ただし見た目()
— たろ (@Ultimaudio) 2017年7月15日
蟻に売ってんじゃね pic.twitter.com/wDIjsYMAGV
中華ハイコスパイヤホンユーザー御用達の某サイトで売られていてもおかしくないような、絶妙にイマイチなデザインだったんですがそこは一旦置いておいて
本当にすごい低音だったんです
とんでもないぶっ飛びっぷりに終始興奮しっぱなしで、ブースの営業さんは若干引き気味
その後流れでいくつか試聴したんですが、2DDのインパクトが凄すぎて音はおろかどのモデルを聴いたのかすらも全く覚えていません
こいつをどうにかゲットしたいと思い、是非とも商品化してほしいという旨をありったけの熱意をもって営業さんに伝えてその場を去ったわけなのですが、まさか本当に発売されるとは
しかもその時参考出展枠として隣に並べられていた正統派ハイブリッドモデルのすべてを差し置いてこいつがと考えると笑いがこみあげてきます
たろの猛プッシュが効いたのでしょうか
いずれにせよLEARがあまり頭の良い会社ではないということだけはわかりました(めっちゃ褒めてる)
ちなみにその1BAのイヤホンですが発売が本日10月19日に決定しているようなので気になる方はご確認ください
販売停止
あと雑談をもう一つ
レビューを書くにあたっては割と根本的な問題でして、実はこのイヤホン投稿時点では購入ができない状態となっています
上記のFacebookリンク先に書かれている通り、Turboはカスタム版とユニバ版が同時に発売されました
その投稿の末尾にそれぞれの詳細へ飛ぶためのリンクが貼り付けられているのですが、ここが問題
現在ではカスタム版のページが削除されており、ユニバ版はページこそ存在するもののSOLD OUTと表示されています
直販サイトのカスタム版販売ページをリンクとして掲載しなかった(できなかった)のはこのためです
たろがTurboの発売を知ったのがこの8月28日の投稿で、実際にサイトにて販売が開始されたのも恐らくは同じころだと思います
発売から2ヶ月も経っていないのにページが消えているのは奇妙ですし、ユニバ版の売り切れ表示に関しても、いくら全世界から購入可能だとは言ってもこの機種のニッチさ加減から考えると短期間で本当に在庫がなくなったとは考えにくいと思いませんか?
自分にはどうもなにかしらの事情があるようにしか思えないのです
製品化したはいいけどあまりに人気がないから販売を中止した(にしても2ヶ月は早すぎると思いますが)、生産効率や技術面などの点から量産は難しいと判断した、仕入れ元にゴジラが襲来してパーツ供給が途絶えてしまい続行不能となった等々
いろいろと原因は考えられますが、どこかきな臭さを感じずにはいられません
このまま何もなかったかのように消滅してしまったら、日本国内どころか全世界最初で最後、唯一の実機という扱いになってしまうかも
レビューってのは大抵の場合はみんなに紹介したい、購入の手助けになればっていうような動機があるかと思うのですが、この記事をきっかけに興味を持ってくれた人がいたとしても買うことができないのでは元も子もないじゃないですか
どうか再開してくれますように
【追記】(2017/10/20)
ページ削除の件についての問い合わせに、3日経ってようやく返答が来ました
なんと予想外も予想外、オーダーが多すぎて手に負えないから一時的に受注停止なんだとか
ユニバ版のSOLD OUT表示もガチだったんですね
たろのように値段に釣られてオーダーしたような人が多かったということでしょうか
それとも、オーダー数自体は大したことないんだけど「まさかこんなクソ構成のイヤホンに受注が殺到するはずもないだろう」と高をくくって仕入れを少なく見積もっていたからとか
なんとなく後者のような気がしますけど、いずれにせよTurboがLEARの予想を超える人気だったということなのでしょう
また落ち着けばページも復活してオーダーできることでしょうから、それまでの間に布教活動をバンバン行っていこうと思います
とは言っても、こんなのを買う人がそんな何人も...
物好きもいたもんです
【追記終】(2017/10/20)
【追記】(2017/11/3)
たまたま公式サイトをのぞいたら更新されてページが復帰していました
販売も再開されたようですのでそれに伴って冒頭のリンクも変更しました
是非ともお買い求めください
【追記終】(2017/11/3)
スペック
- LEAR's 6mm & 9mm Dynamic Driver
- 2 Way Crossover
- high Quality OFC interconnection wire
- German Hi-Fi grade 4% Lead Free soldering
- Frequency Response:20Hz-20kHz
- Impedance : 20ohm @1000Hz
- Sensitivity : 106dB
公式サイトより引用
片側にダイナミック型を2基搭載
ニュアンス的には独自開発ドライバっぽいのですが詳細は不明です
また商品説明として
there are two individual LEAR's dynamic driver unit (the 6mm unit that produces Highs and Mids, and the 9mm unit that produces bass)
というように、6mmを中高域に、9mmを低域再生に使用しているとの文言があり、この割り振り方からしても低域特化型であることはわかるかと思います
さらに同じく説明文中での音質傾向についてのコメントがこちら
From soothing vocals, to deepest basses, the “Turbo” are sure to provide an extraordinary experience for our users!
お判りいただけたでしょうか
なんと、高域について一切言及されていないのです
柔らかなヴォーカル(=中域)と重低音が特徴的とだけ言って高域に関しては完全スルーです
「酷すぎてコメントに困るから下手なこと言うくらいなら黙秘」
ってことでしょこれどう考えても
試聴して尚買おうと思うのはバカだけでしょうし、未試聴購入はさらなるバカかと思います
たろはマシな方のバカですのでまだ大丈夫です
そしてお値段はこんな感じでした
"レートにより変動有"と書きかけたけどそもそも買えなかった買えるよ!!!
本体価格 25,000
コネクタ変更費用 2,500
謎の手数料 2,500
ーーーーーーーーーーーー
合計 30,000
カスタムイヤホンとしては屈指の安さでしょう
コネクタはMMCXまたはフラット2pinが選択可能で、埋め込み2pinにする場合は追加料金がかかるとのことでした
手持ちが2pinに侵食されているのと、フラットは心もとないという観点からお金を払って変えてもらいました
それでも30,000円ですし安い安い
ちなみに他の格安モデルとしては1BAがチューニング違いで3種と、低音調整ネジが付いた1DDモデルがいずれも本体価格30,000円で、エントリーラインナップが充実しています
AAWの1DDが確か直販で20,000+αだった気がしますのでレパートリーも加味すればLEARも結構強いのでは
付属品
- ケース
- クリーニングクロス
- クリーニングツール
本当にこれだけで、保証書や説明書といった類のものも一切ありません
公式サイトの情報だと1年保証が適用されるらしいのですが大丈夫なのかなと若干心配です
オーダー時に発行された注文番号(?)が箱の側面にも印刷されているのでそれ伝えたら済むのかな?
とりあえずぶっ壊れないことを祈ります
ただ、ケースに関してはちょっとうれしい
ラウンドケースをひとつも持っていなかったので1個くらい欲しいなぁと思っていたんです
こちらはフルプラスチックでUMやVEあたりの重厚な金属ケースとは違うのですが、たろはこれで十分です
というのも、金属ケースだと傷つくのが嫌だという理由から普段使いせずに家で飾っておくだけになると思うのでもったいない
そういう意味では気兼ねなく使うことができてうれしいです
表面はサラサラとマットな仕上がりで、中にはシリコンが敷かれていて衝撃保護も問題ないでしょう
ちなみに純正のケーブルですが、耳掛け用のワイヤーやチューブといったものが一切施されておらず、ツイストした線材をそのままコネクタにくっつけているだけです
人によっては好き嫌いありそうなので報告まで
デザイン
L : ブラック+ゴールドロゴ R : ワインレッド+ブラックロゴ
今回は非常にシンプルにしました
まず大前提として黒赤というカラーリングが外せないのは当然のことです
黒赤が至高、これは宇宙の理なのです
あとはシェルやFPにどちらの色を持ってくるかということになるのですが、前回とはまた違った印象にしたかったのでシェルとFPを揃えてみました
RE1000をオーダーした際に、ビビッドすぎるのを避けたいという理由からレッドではなくワインレッドを選択したのですが、あの渋さが思った以上にツボだったので今回もワインレッドに即決です
ロゴに関しては欲を言えば赤色が選択できればよかったです
あれば絶対にL側を赤にしたんですが...
そもそもないものは仕方ありません
あっもちろんR側のロゴは黒一択ですよ?
黒赤って言いましたよね?
赤には黒です
他の色の入り込む余地は一切ありません
シェル
まずフィット感がとんでもなく抜群
過去にたろがオーダーしたカスタムイヤホンは2つ(RE1000とTF10リシェル@AAW)なんですけども、そいつらよりもあきらかにいいです
入れたときのぴっちりと吸い付く感じが絶妙で、口や頭を動かしたときのズレが凄く少ない
それでいて長時間装着しても全く問題なくて文句の言いようがありません
舐めてかかっていたのを許してもらいたいです本当にごめんなさい
ですが問題はシェルクオリティ
主に見た目に関することです
さすがにバリがあったりいきなりヒビが入っていたりなんてことはなく、R側のワインレッドの透明感も高くてぱっと見は結構良い感じなのではと思ったのですが、よくよく見てみると色々とアラが目立ちます
まず気になったのが、歪んだフェイスプレート
これインプレッションを削る工程での問題だと思うのですが、FPの外周部がガタガタで、RE1000では綺麗な曲線を描いていた部分もデコボコと...
カスタムの顔ともいえるFPですが、残念な感じになっていて悲しみがあふれ出ます
そして外側だけじゃなくて内側にも問題が
シェルの中に色々混じってるんです
レジン自体に気泡やチリのようなものが混入していたり、内壁にゴミが付着していたりといった具合で、お世辞にも綺麗とは言えないです
例えて言うならまあまあ綺麗な自作カスタムって感じでしょうか
皆まで言わせるな
察してください
ただ幸いなことにシェルの色が黒とワインレッド
黒の方は完全不透明なので気泡が入っていようがゴミがくっついていようが関係ありません
表面には出ていないので見てくれは上々
それにワインレッドにしても暗めの色なので、光を通して覗き込まない限りはそうそう見えないため気にもなりません
どの程度なのかわかるように写真に撮って載せるつもりだったのですが、シェル色との兼ね合いのおかげか上手く写り込んでくれないため断念
しかしこれは裏を返せば、薄い色でオーダーする際はある程度の覚悟が必要ということになります
無色透明なんかで作った日にゃ人によっちゃ発狂ものでしょう
あまりおすすめできません
不満を垂れているように思われましょうが実のところまあこれくらいやんなといった感じで特にダメージはないです
なにせ自分の場合は安さに釣られて買ったようなものですし、そもそもの話LEARを自作上がり駆け出しメーカーくらいにしか思っていなかったので(実際そうなのかは知らない)期待は微塵もなく、
「音さえ聴けりゃ上々」
とさえ考えていたのでむしろ想定よりは綺麗でしたし、フィット感に至っては感涙モノです
とは言っても今回でこそ3万円だったから良かったものを、これが上位モデルだったらと考えるとさすがにちょっと...
今のところは12万ほどのものが最も高価なわけですが、ここまでくるとシェルの出来が価格と釣り合っていません
どうしてもLEARの音が欲しい+シェルの不出来には目をつぶれるという場合でもない限りは、値の張る機種は避けるべきですかと思いますのでその点だけはご注意ください
音質
なにはともあれ音がとてもいいので、もといとても好みなので、シェルにゴミが入っているだなんてのは些末事に過ぎないのです
そしてやはり、何を置いても語られるべきは低音でしょう
このためだけに買ったわけですし、公式をしてdeepest bassと言わしめる実力ですので、もう他の部分については話すことはないです
ということで聴いてみるわけなんですけどこれがまた凄くて
声に出して笑ってしまうほどのアホっぷりでした
アホすぎてゲラゲラ笑いますよこれ
ポタフェスで試聴した時よりさらにブリブリ感が増していてびっくりしました
やはり試聴機とは違ってカスタム版だからでしょうね
低音の量感は装着感にかなり左右されますから
やたらぴったりとフィットしてくれているのも一役買っていると思います
今までずっと愛用してきたRE1000に耳が慣れているためここが評価基準になってくるのですが、明らかに低音ひとつひとつが太くて
「鼓膜が揺らされてる!」
という感覚がとてつもないです
いつも聴いている曲のはずなのにいつもと違って聴こえて、変な笑いがこみあげてきます
ボワボワ加減が尋常じゃなくて籠りまくりで、これはもはや籠りの次元を超えています
キレのある低音の最たるものがSuperDartsかと思うんですけど、あれとは完全に対極にあり、他の帯域を完全にマスクしていて聴けたもんじゃありません(と言いつつ満面の笑みで聴く)
公式が高域について全く触れていないのも納得の仕上がりとなっております
低音の良さに気づいて以降少しづつ好みのイヤホンを増やしてきて、これでコレクションも5つ目になろうかというところなのですが、ここへきてエースの登場となりました
新品を買い戻すほどに惚れこんでたAurisonicsの酷い低音をもあっさりと凌駕してきたのは本当にうれしい限りです
「世の中にはまだまだヤバいのが存在するんやで」
と、天からのお告げを受けた気分です
低音の荒ぶり具合からすると天というより地獄の悪魔にでも言われた方が様になりそう
ただ、今でこそぶっ飛んだ帯域バランスなのですが、心配なのがエイジングです
RE1000も初めは凄かったものの鳴らし込むにつれて徐々に高域が前に出てくるようになり、今では他のオーオタ仲間に
「低域が強いのは否めないけど普通に聴ける音では?」
と言われてしまうほどに...
RE1000に関してはブーストをかけると一気に化けるので今でも好んで使用してはいるのですが、まともな構成で繋げてしまえば意外と聴けてしまう音にまで成り下がってしまったのは非常に残念でなりません
そして今回のTurboもまた同様のダイナミックドライバ構成ですので、RE1000と同じ道をたどることになりそうでとても不安です
年相応に落ち着いた元ヤンみたいになってしまうことのないよう、日々祈るばかりです
総評
高域 ♫ ♫
中域 ♫ ♫ ♪
低域 ♫ ♫ ♫ ♫ ♫
装着感 ♫ ♫ ♫ ♫ ♫
シェル ♫ ♪
総合 ♫ ♫ ♫ ♫
かなりいい買い物をしたと思っています
低域の量感はもちろん満点をあげられる代物ですし、予想をはるかに上回る装着感だったこともあって大満足です
シェルが汚かったという点が一番のマイナスポイントですね
前述の通り個人的には気にしていないのですが、やはりDIY系ではない正規のカスタムメーカーであることを考えると、さすがにクオリティに難ありと感じたためかなり低めにしています
すべてはシェルクオリティのせいで総合満点には一歩及ばずといった具合です
めっちゃいいイヤホンだからみんなも買おうね、なんて言えません
音が酷いから?
それもありますが、そもそも買うことが出来ないんじゃあおすすめしたところでどうしようもないですよね
この件に関しては数度に渡ってLEARに問い合わせてはいるのですが一切の返答がないため大人の事情ってやつなのでしょう
『販売停止』の項目内に追記した通り、受注過多による一時的な販売停止を行っていたようですが、現在では再開されております
ひとりでにやにやしながら聴いて、たまに知り合いに押し付けてリアクションを楽しむことにします