あみあみ紀行

低音を増やすことしか考えていないポタオデ趣味のたろがケーブルを自作したりイヤホンを買ったりする旅のお話

多芯ツイスト ②

自作をする上でのちょっとしたテクニックを紹介する小ネタコーナー

第三回は多芯ケーブルを組む際のまとめ方について

小ネタカテゴリとして開始する前にも同じような主旨で多芯についてちょっとしたことを紹介していたのですが、あちらは編み込みの際の注意点だったのに対して今回は多芯でのツイストに関することです

多芯ツイストの基本方針としては、撚り合わせた線材の束を複数用意してそれらを再度撚り合わせるというものになります

4芯ツイストしたケーブルを4本撚り合わせて合計16芯に仕上げるといった感じですね

 

上記リンクで紹介したような多芯編み込みだと24芯辺りが綺麗にまとめられる上限の芯数になるかと思うのですが、このツイスト手法だと理論上は際限なく芯数を増やすことが可能となっております

平編みなら一応は無限に増やせるんですけど薄っぺらいままに幅だけが広くなるため実用的ではないです

 

直近の例としてはこちらの28芯ミニミニとかですかね

他にも50を超える芯数のミニミニや24芯のリケーブルなんかも作ったりしましたけど、それもこれも全部ツイスト仕上げで組み上げています

一定以上の芯数で組む場合は問答無用でツイストを採用することになるかと思います

ツイストについてちょっと

f:id:ultimaudio:20171204060352p:plain

多芯の話に進む前にツイストそのものに関して

ツイストには方向が2つあって、S撚り及びZ撚りというように呼ばれることがあります

 

それぞれのアルファベットの斜線部分の向きに注目すればわかるでしょうが、Sは左上から右下へ、Zは右上から左下へと線が伸びており、これらに相当する寄りの方向をそれぞれS撚り、Z撚りと呼称するというものです

右撚り左撚りなんて呼び方もありますが、らせん状のもののどこがどう右やねんと食い違いが生まれやすいってこともありS,Zを用いた呼び名が使われることが多いです

 

そして基本となる芯数についても少し

文字通りツイストして線材を束ねていくわけなのですが、綺麗にまとめられる芯数には限りがあります

2, 3, 4, 7といった芯数が安定しており、6芯でもかろうじて収められるかなという感じでその他の芯数だと見た目が損なわれてしまいます

 

ただ、多芯ケーブルのことともなれば2芯ツイストはまず使わないでしょう

撚りの間隔がちょっとズレるだけで最終的な仕上がりが一気に悪くなりますし、そもそも多芯を目的にしている以上はもっと多い芯数で撚り合わせるほうが効率もいいのでわざわざ2芯ツイストを採用することはないです

 

逆に7芯以上となるとこちらの第一回小ネタ篇で紹介しているように19, 37, 61...と増やしていくことが出来るわけですが、このまとめ方は技術的な問題からハンドメイドで61を超える芯数で作ることは非常に難しいです

そのため多芯を組み上げる際はツイストを複数回行うことで線材をまとめるという方法に行き着くわけなのです

多芯ツイスト

それでは本題に入りましょう

とは言っても、パターンさえ覚えれば後はどんな構成でも同じことをするだけなので大層なことはありません

先ほど書きましたように多芯撚りでは一度ツイストしたものを再度ツイストして束ねていくという方向性になるわけですが、重要なのは撚り方向は交互という一点だけです

 

ツイストでまとめると線材が元の状態に戻ろうとする力、つまりツイスト方向とは逆向きの力が発生します

複数回に分けて段階的にツイストを行う際に向きを交互にすることによって、ある段階で撚り合わせた状態で発生する力が前後の段階で発生する同様の力と打ち消し合うことでうまくまとまってくれるというわけです

逆に全てを同じ方向で撚り合わせてしまうと発生する力の向きまでもが一致してしまうため容易にほどけてしまいますので、撚りの方向が最も重要になってきます

 

実際に試してみればすぐにわかることなのですが、撚り方向を交互にした状態でツイストをわざとほどこうとすると、下層でのツイストがよりきつくなるため元に戻されるような力を感じられるはずです

お互いにツイストがほどけない方向へ力を掛け合っているということが体感的に理解できるかと思います

 

今回は冒頭でも挙げました4*4の16芯ツイストを例としてご紹介します

まず第一段階として、線材を4本束ねて4芯ツイストを作ります

撚りの方向はどちらでも構いません

この初めの段階でのツイストがいかに綺麗にかつ等間隔にまとめられているかが最終的な見た目の良さにつながりますので、自分のやりやすい方向で撚った方が良いでしょう

厳密な話をすると、撚線そのものの撚り方向をみてどちらにするかを考えるべきなのですが、 そもそも多芯を試そうという方はそこまで気にしないだろうと思うのでやりやすい方向で撚りましょう

 

f:id:ultimaudio:20171203002743j:plain

Z撚りで4芯ツイスト

 

次にこの4芯ツイストを4本束ねていくわけなのですが、ここで撚り方向は交互ということが重要になります

第二段階でのツイストでは先ほどのツイスト方向と逆方向で撚り合わせなければなりません

初めにZ撚りで4芯をまとめておりますので、次の段階ではこれらをS撚りでまとめていくことになるというわけです

 

f:id:ultimaudio:20171203002759j:plain

第二段階でのツイストはS撚り

 

たったこれだけで16芯ツイストの完成です

簡単なものでしょう?

今回は16芯というもはや多芯とすら呼べないような芯数だったため第二段階までで済みましたが、さらに第三段階の撚りを行うという場合にはまた逆撚りを行ってZ→S→Z→S→...と続けていくことになります

 

という感じで、撚り方向を交互にするという点さえ守ればなんてことはありません

誰でも簡単、多芯ツイストの出来上がりというわけです

どれだけの段階を重ねるかという点に関しては、目標芯数に合わせて適宜調整していくと良いかと思います

 

以前64芯ミニミニを作ったことがありますが、そのときはこの16芯ツイストを更に4本撚り合わせることで仕上げております

4*4*4という構造だったため撚り方向もZ→S→Zというように三段階撚り合わせることになりました(この記事の最後で言ってる通りのことをこの小ネタ記事で書いてるのに気づいてフフッってなってる)

どこまで芯数を増やそうとやることは相変わらずで、ツイストを繰り返していくだけです

今後多芯を試すような機会がもしあれば是非お試しください

最後に

「そんなに20も30も芯数増やしてどうすんねん」っていうツッコミがどこからともなく聞こえてきそうですが、そこはロマンとだけお答えしておきます

そもそもたろ自身、自作するときって

「格好良く仕上がりそうだから」

「このやり方でやってみたかったから」

「なんかノリで...」

というような不純な動機からきているものばかりなので仕方がないのです

音質を追求しろと御ツッコミをいただいても右から左ですので申し訳ないです

 

次の小ネタは何にしようか

思いついたときに気力があったらまた記事にします