Empire Ears 新カスタム
実はこの記事2月の頭には完成していたのですが、なぜかすっかりと頭から抜け飛んでいました
新機種の試聴機展示開始に合わせてわざわざ秋葉原まで足を運んでまで聴いてきたというのに放置してしまうとは意識の低さを再確認させられます
さすがにこれだけの量を書いておきながらお蔵入りってのも悲しいので、こうして2ヶ月以上も経ってから公開することになってしまったのです
当時は試聴後すぐにでも投稿しようと思っていたため、4月現在から考えるとちょっとおかしなことを言ってる箇所もあるでしょうが、訂正するのも面倒なのでそのままにしてます
適当に流し見てくださればと思います
新モデルは2ラインナップ
今回ご紹介するのはEmpire Earsの新作カスタム
どうやらこの新しいモデルはeイヤが世界最速発売になるとのことで、発売当時はEmpireの公式サイトにさえ掲載されていませんでした
まあよくあることです
ここまでポタオデにお熱なのも日本くらいらしいですから
現在では本国サイトでも公開されていますので良ければご確認ください
といいますか、この2ラインナップだけになってるんですよね
今でこそeイヤではADELシリーズとかも取り扱っているものの、ゆくゆくはそれらもディスコンとなってしまうのでしょうかね
今回発売された新作は全部で7機種、方向性の異なる2つのシリーズにわかれる形で展開されています
いずれのモデルも有名アーティストやエンジニアが製作に関わっているとのことなのですが、その"関わっている"というのも正直どこまでのレベルなのかが分からないため、飾り程度と考えたほうが無難かと思います
またこちらのイヤホンたちは現時点ではカスタムモデルのみの取り扱いとなっていますが、そのうち国内でもユニバーサルモデルも発売されるのだとか
本国では既にユニバ版も発売されています
個人的にはもうカスタムは必要ないので、ユニバも出してくれるのはありがたい限りです
EPシリーズ
◇EVR (Empire Vocal Reference)
- ドライバ構成:3BA (Low×1, Mid×1, High×1)
- クロスオーバー:3-way
- 価格:¥90,000
◇ESR (Empire Studio Reference)
- ドライバ構成:3BA (Low×1, Mid×1, High×1)
- クロスオーバー:3-way
- 価格:¥112,000
◇Phantom
- ドライバ構成:5BA (Low×2, Mid×1, High×2)
- クロスオーバー:3-way
- 価格:¥203,000
2シリーズのうちの1つがEPシリーズです
EPというのはEmpire Proの略だそうで、プロというだけあってモニター系のサウンドになっているのが特徴的
また構成を見たらわかるでしょうが、3モデルすべてがBAのみで構成されたラインナップになります
ドライバ数も3/3/5で、帯域の振り分け方に関してもこれといって面白みがあるわけでもありません
王道構成で攻めたよくあるモニターイヤホンということでしょう
実際聴いてみた感じも、よくあるモニターやなって印象だったので個人的にはスルーです
しかしまあなかなかいいお値段しますよね
3BAで10万くらいなら他にもあるのでまだいいにしても、5BA構成で20万を超えてくるのはそこはかとないヤバさを感じます
VE5なんかも似たような値段なんですが、なんてったって同じEmpireが出してる10BAのAPOLLOと全く同じ値段って考えると???ってなります
どっちにしたって買えない値段ですし、もし買えたとしても欲しくはないので別に構わないんですけどね
悪く言うつもりはないということだけお理解ください
Xシリーズ
◇Bravado
- ドライバ構成:1DD+1BA (Low×1, Mid-High×1)
- クロスオーバー:4-way
- 価格:¥79,000
◇Vantage
- ドライバ構成:2DD+1BA (Low×2, Mid-High×1)
- クロスオーバー:5-way
- 価格:¥158,000
◇Nemesis
- ドライバ構成:2DD+3BA (Low×2, Mid×1, High×2)
- クロスオーバー:8-way
- 価格:¥180,000
◇Legend X
- ドライバ構成:2DD+5BA (Low×2, Mid×3, High×2)
- クロスオーバー:10-way
- 価格:¥237,000
もう一つがXシリーズです
BAドライバのみで構成されたEPシリーズとは打って変わって、こちらはハイブリッドタイプのラインナップになっています
EPと比べると低域をブーストさせた音作りになっているらしく、リスニング向けに仕上げているのだとか
いいですねぇ低域をブーストって響き
最高じゃないですか
わたしのために作ってくれたと言っても過言ではないと思うんですよ
ダイナミックドライバを2つも使って低域を鳴らすなんていい仕事するじゃないですか
一気に見直してしまいました
シリーズ名であるXというのはどうやら"Cross"を表しているようで、DDとBAを組み合わせてるよって意味だそうです
Legend Xの方のXはそのCrossに加えてクロスオーバーの10-wayも掛けた命名なんだろうなぁという気もしていますが、まあ正直どうでもいいです
お値段に関してはEPシリーズ同様に相変わらずです
でもまあどっちかっていうとDDの方が扱いやチューニングが難しいので高くなるのも納得できます
BravadoからVantageでDDが1つ増えるだけで一気に倍の値段になっているのはさすがにびっくりしましたが、2つもDDを乗せるとなると色々と面倒なんでしょうかね
よく知りませんが
Empire Earsの本気をみた
既にお分かりかとは思いますが、今回はXシリーズをメインに試聴してまいりました
一応EPシリーズも聴きはしたんですがぱっとしない音でまともな比較もできそうになかったため省きます
ここでひとつ正直なことを言わせていただきますと、わたし自身Empire Earsに対してはあまりいい印象を持っていなかったんですよね
これまで出してきたモデルが揃いも揃ってモニターちっくなモデルばかりだったため、メーカーの方向性としては自分の嗜好とは合わないなぁと思っていました
それに加えて、重低音の迫力を前面に押し出して発売されたSAVAGE 6が拍子抜けするほどのシャカシャカした響きだったという許されざる前科もあって、期待値は本当に0に等しかったんです
実際、去年末のポタフェスの際もLegend Xだけは出展されていたのですが結局聴く気にはなれずにスルーしてしまっていたほどです
が、聴いてみればびっくり仰天
ここへきてようやくわたしのストライクゾーンに入るモデルが登場してくれました
Xシリーズに関してはどのモデルも概ね満足できる仕上がりでした
試聴で主に用いたのはこちらの楽曲
NeonlightからBad Omenのリミックスバージョンです
1:00辺りから断続的に鳴り響くブリブリとした低音がお気に入りです
ここをいかに野太く鳴らし上げられるかという点で判断していきました
またさっきも言いましたが今回は特に気合を入れて試聴に挑んだわけでもなく、むしろなんも期待してなかったくらいなので、機材は緩めの3段構成でした
こんなことなら4段で聴けばよかったと後悔しておりますので、また近いうちにリベンジしてこようかと思います
L1はBASS +9/TREBLE -3、duoはBASS上げです
普段聴いてる音がどう聴こえるのかを試すということがネックになりますので、試聴の際ももちろんいつものイコライザでという感じになってしまっています
ただやはりレビューをするともなればフラットなイコライザで聴いて判断するべきだろうってことで一応はL1との2段構成でイコライザを掛けない状態でも試聴しています
Bravado
ということでまずはシリーズ中で最も安価なモデル、Bravadoです
ドライバ構成も1DD+1BAと、ハイブリッドとしてはこれといって突飛な構成というわけではありません
「ああ、ハイブリッドの音がする」
って感じの響きです(語彙力)
とはいっても低音はそこそこの量感となっており、モデル名の通り若干無理をして低音を増やしているような印象さえ受けるほどです
曲によっては不釣り合いな低音のパワーを感じることがあるかもしれないです
また量感が多いため相応にボワボワ感もあり、お世辞にも引き締まった低音とは言えません
対する中高域は主張が弱めです
際立って低域に劣っているというわけでもないのですが、高域に関してだけ言えば若干頭打ちしているかなぁという印象がありました
わたしは別に気にしないレベル
ただこれもやはり絶対的な評価でしかなく、上位の3機種(特にLegend X)と比べてしまうと解像度の低さが目立ってしまいます
正直なところ、これを好んで買う人は居るのかなぁという感想です
金銭的な問題から妥協してBravadoをということならわかりますが、「Xシリーズの中でどうしてもこの音が好き」という人は稀なんじゃないかと思う音作りです
Vantage
個人的に一番気に入ったのはこいつです
低域用DDが2基に対して中高域にBA1基のみというかなり攻めた構成です
できる限り先入観を無しに好きな音を見極めようと思ってドライバ数を見ずに聴いてみたのですが、やっぱりといった感じで一番アホな構成のVantageがドツボでした
Bravadoの次に聴いたのですが明らかにこちらの方が低音が野太く響いており、重厚感が半端ではありません
やっぱりDDの低音はいいよなぁと改めて思わせてくれる芳醇な響きです
暖かさや柔らかさといった表現から想像するような質感がそのまま再現されているような仕上がりになっています
したがって、Bravado同様にキレには乏しい結果になっています
上位2機種に関してはBAが増えるにしたがって中高域の質も相応に上がっていくのですが、そこまでハイファイなサウンドを求めているわけでもないため、こいつくらいがちょうどいい具合です
また中高域はBravadoと同程度にとどまっています
個人的にはそこまで繊細な表現を必要としておらず、むしろ低域の邪魔をしてくれるなとすら思っているくらいなのでむしろこのくらいのバランスがベストとすら感じてしまいます
ただまあ、キラキラとした鮮やかさを求める方からすれば物足りない仕上がりになっていることは間違いありません
低音大好きマンでもない限りは買う人もめったに現れないだろうというのが正直な感想です
Nemesis
VantageではBA1基のみで中高域を鳴らしていたわけですが、そこにさらにBAを2つ追加して中域に1基、高域に2基を配分したモデルになります
2DD+3BAともなればわりとまともな音が鳴るんじゃないかとお思いでしょうが、まさにその通り
ドライバを増やして無理をなくしただけあって、Vantageと比べると中高域の解像度がグンと上がっているのが目に見えてわかります
より細かい表現もしっかりと鳴らし上げてくれますし、分離感もかなり向上しています
やっぱBAは複数の方がいいんだよなぁって実感できます
また中高域が向上したことが影響してか、低域の質感もかなり変化しています
下位の2機種ではボワボワが先行していたわけですが、ここへきてかなり輪郭のはっきりとした音像になっています
もやもやっとした曖昧な低音ではなく、適度な弾力のあるスーパーボールのようなイメージ
ここいらくらいのレベルになれば割と多くの人に気に入られるんじゃないかと思います
まあ、こいつじゃないと出せない音かって聞かれるとちょっと首をかしげたくもなりますが、特別酷いバランスというわけでもありませんので要試聴です
Legend X
シリーズでのフラグシップというだけあってこいつは別格でした
明らかにLegend Xだけが
「ハイファイサウンドを維持しつつも低域をブーストした音」
といった感じで、下位の3機種との違いを見せつけられた形になります
NemesisからさらにBAをもう2つ追加しているわけですが、中高域がとんでもなくステップアップしています
昨年のポタフェスにてXシリーズのうちこのLegend Xのみ試聴機が展示されていましたが、その当時も結構良い評価が多かったように思います
まあ実際いざ製品化ってなって下位の3機種と一緒に試聴機が出されてからも、こいつだけはかなり人気という印象です
まあ値段が値段なだけに購入者はほとんど見かけていませんが...
おいそれと手を出せないというのもわかります
また余談ではありますが、こいつだけが凝ったフェイスプレートで作られていました
下位の3モデルの試聴機に関してはいずれもフルブラック筐体に金のロゴを入れただけの質素なデザインだったのですが、Legend Xだけは別
高級感の演出ということでしょうか
紫と青の混じったようなカラーリングのスタビライズドウッドです
確かカスタムのフェイスプレート素材にはこんな色はなかったはずなんですが、果たしてこの色でオーダーできるんでしょうか
試聴機専用だから実機には適用できないなんてことがあったら困りますがはてさて真相はいかに
欲しいんだけどお値段...
Xシリーズ全体として低音が非常にいい出来栄えで、特に気に入ったのがVantageでした
一応シリーズとしては4モデル展開になってはいるのですが、ドライバ構成・価格・音質のどこを比べてみてもBravadoだけが孤立したエントリーモデルで、その上にVantage以上3モデルが並んでいるといった印象が強かったです
しかしまあ高いんですよねこれが
一番気になっているVantageだとユニバモデルであればカスタムに比べて$200安い$1,190で買えるわけなのですが、そうは言っても10万円を超えてくるとなればやっぱりすぐに購入というわけにもいかないところです
しかも上位の2機種に至ってはカスタムユニバ関係なく同じ価格ときたもんだ
まあはなっから買うつもりが一切ないのでいいっちゃいいのですが、そりゃないやろって言いたくなりますよね
実はついこの前発表された UE 6 PROがVantageと全く同じ構成で$699という破格で発売されるということを知ってからは、Vantageへの興味が完全に薄れてしまってるんですよね
やっぱ10万以上は無理ですわ...