あみあみ紀行

低音を増やすことしか考えていないポタオデ趣味のたろがケーブルを自作したりイヤホンを買ったりする旅のお話

ハイエンドイヤホンは新たな境地へ

みなさん米国のIEMメーカーSleek Audioをご存知でしょうか

2chのカスタムIEMスレではメーカー一覧の中で一応紹介だけはされているというくらいで、日本での販売がないだけに国内では話題に上ることがほとんどなく、存在すら知らないという方も少なくないかもしれません

そんなSleek Audioといえばこの話というくらいに有名(?)なのが2011年の出来事

 

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何の前触れもなく新機種CT20の発売告知を行ったのです

これの何が凄いかって、数字の示す通り片側にBAドライバを20基も搭載したカスタムイヤホンだったんです

この話を知ったときには本当に度肝を抜かれました

 

2011年と言えばSENNHEISER IE80やAKG K3003、Westone 4Rなど、今なお高い評価を受け続ける名機が世に送り出された年ですね(4Rに関してはすでに生産終了していますが)

そんな時代のポータブルオーディオ市場を考えると20ドライバ搭載なんて想像もつかないものでしたので、実装できたのがすごいとか音はどうなのだろうといったようなことすら考えられずに理解が全く追い付きませんでした

 

しかもお値段が聞いてびっくり$8000だってんですから頭がくらくらしました

いまでこそ高級イヤホンがわんさかリリースされていて(この流れが果たしていいものなのかはさておき)、数十万やそこらならもはや動じないほどになってしまいましたが...

そんな今でさえも8000ドルのカスタムが発売されたともなれば驚くものですが、当時は10万を超えるようなイヤホンですら数えるほどしかなかったわけですから、それはそれはもう驚くなんていう次元を遥かに超越してドライバ数のぶっ飛び具合と並んで完全に意味不明で思考停止した覚えがあります

 

しかしながらやっぱりというかなんというか

発売告知をした日時が4月1日だったってことを言えばもうお判りいただけるでしょう

そう、単なるエイプリルフールネタだったんです

気付いた時にはむしろ安心してしまったくらいです

ただ当時投稿されたこちらのレビューを見る感じでは本当に20基を実装したデモ機を完成させているような感じでしたので、製品化こそ難しくとも作ること自体は可能なのかとわくわくすらしていました

 

その後このネタに触発されたHeir Audioが20基搭載型カスタムを独自で作ってみたりなんてこともありましたが、こちらもあくまで遊びの範疇で、発売されることはもちろんありませんでした

あの頃を思い返せば、確かに片側に20ドライバも搭載したイヤホンだなんて文字通りバケモノという扱いでしたし、今後そんなイヤホンが一般に販売されるようなことになるとは思っていませんでした

 

そう、販売されるなんて思っていなかったんです

そんなバケモノがコンシューマー製品として正式に発売されることになってしまったのです

はいこちら

 

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Rhapsodio Infinity

12月8日発売

 

今年の春に開催されたヘッドホン祭にて参考展示されてかなり話題になったのも記憶に新しいかと思いますが、なんと本当に製品化されてしまいました

Sleek Audioの一件から6年半が経ってようやく時代が追い付いたということでしょう

ヘッドホン祭に展示されていた実機は筐体サイズが小さくまとまっていて、思った以上に装着感は良かった印象です

画像を見る限りではその時から大きくは変わっていないようなので某収縮チューブイヤホンのようなフィット感地獄にはならないでしょう

 

また販売サイト内には日本人の耳にフィットしやすいという文言が確認できますし、Rhapsodioの本国サイトにはInfinityの情報が記載されていないということから考えても、日本での独占or先行販売を目指したものなのでしょう

やはり日本のオーディオ市場はカモとてつもないものなのですね

 

ドライバ構成としては

  • Low×4
  • Mid-low×4
  • Mid×2
  • Mid-high×2
  • High×8

ということになっているようです

高域用ドライバだけで8基...

この数で普通にハイエンドイヤホン作れるやんけって感じになってて笑います

 

祭で試聴したときの感想は20ドライバの音!!!でした

音の傾向としてはドンシャリっぽい感じなんですけど、それ以上に解像度アゲアゲで情報量がすさまじいという印象が強く、ザ・多ドラサウンドだったのは予想通りすぎました

装着感の確認と並んで音も聴いてみてから購入する方が良いでしょう

ハイエンドイヤホンを試聴もせずに買うような勇者は...存在してしまうのがオーディオ界の怖いところですが、まあできれば試聴しましょう

 

そして気になるお値段はこちら

 

¥324,000 

 

あれ、思ったより安い...?

そんな風に思ってしまったあなたはもう毒されているかもしれません

無理やり20基詰め込んだだけって感じで音が残念な話題性イヤホンというわけでもなく、音質面でも結構好印象だったのでこれはアリ...なのかな......? 

もうここまでの値段になってくると価格と品質のバランスの良し悪しがよくわからなくなってくるので何とも言えません

ご自分で判断してくださいませ

 

ちなみにRhapsodioはヘッドホン祭で

「さらに上位の24ドライバモデルも作るつもり」

なんてことまで言っていましたので、イヤホンドライバ記録が更新される日も遠くないかもしれません

多ドラ至上主義が否定されつつあるポタオデ界にあってもガン詰みを続けていく姿勢、逆に清々しくて好きです