清らかなる心が音楽にさらなる磨きをかけるのです
TAKET-BPP
スーパーツィーター バットピュアポータブル(早口)
発売からかなり経っているようなのでご存知の方、購入済みの方も多いことでしょう
何年も前にTwitterにて見かけた謎アイテムを偶然店頭で発見して衝動買いしてしまいましたのでレビューをしてみます
目次
概要
商品趣旨
人は、外部から放射された音を皮膚を通して感じているという発見を、ヘッドフォンやイヤーフォン用のポータブルスーパーツィーターとして商品化したものです。
「音の再生時に、BPPが音の立ち上がり成分に含まれる超音波を放射し、その超音波は、人の顔などの皮膚を通して音のくる方向性と鮮やかさを伝えている」という弊社独自の発見と理論に基づいています。
生音に近づく「うっとり音効果」
全体的に音が立体的になり、生き生きしてきます。高域は伸びが出て空気に溶け込みます。中低域は艶のある響きと厚みが出て、しかもしまりのある低音になります。
また、放射面を顔の前方に置くと、頭に張り付いていた音が、頭から離れ、音場が前方に移動します。耳だけで聴いていたストレスから解放される効果もあります。
いずれも付属の説明書及び公式サイトからの抜粋です
このBPPなるもの、その正体はスーパーツイーターとのことで、そこから発せられた音を耳ではなく皮膚から感じることで音に変化が生まれるというものらしい
しかも生音に近づくだとかでなんだかそれらしい表現が並べられています
ここでまず断っておきたいのですが、個人的な見解としてはこの超音波による何かしらの変化に関しては否定的ではないということです
可聴域外の音波が身体に影響を及ぼす、ハイパーソニックエフェクトという効果が学説的にもかなり注目を集めているわけですし、むしろ期待すらしているくらいです
ただ、上記に限らず公式サイトでの説明があまりにオカルトじみているということから、ハイパーソニックエフェクトに酷似したメカニズムを謳っていながらも、不安でならないのも事実
果たして真偽のほどはいかに...
そして本体がこんな見た目なのですが
正直言っていいですか
クソだせぇ
何なんですかこの言いようのないダサさは
色といい形状といい
もうちょっとデザインどうにかならんかったんかと声を大にして言いたい
しかもこれ画像ではわかりませんけどプラグが若干傾いてるんですよね
端子部分そのものは問題がないのでジャック側を壊すようなことにはならないでしょうが、それにしてもこの品質はちょっと...
幸先が悪いです
使用法
製品品質はともかく、とりあえずは使い方のご説明
いたって簡単、いつも聴いているDAPにBPPを装着して放射面を顔に向けるだけ
一応は音が鳴っているのですが、普段聴かないような音量にまで上げていくとチリチリというノイズのような音がかすかに聴こえる程度です
スーパーツイーターですので、発生しているのが超音波で人間の耳には聴こえないということでしょう
そして接続方法として、本体とは別に二股の分配コネクタが付属していますので片方にイヤホンやヘッドホンを、もう片方にBPPを接続して使用するとのこと
ただ、BPPの効果がどれほどなのかはさておいて、このとんでもなくチープなコネクタはいかがなものかと言わせていただきたい
秋葉原で10円払えば買えそうな安物っぷり
こいつを間に挟むことによる音質劣化はどう説明するのでしょうか...
高級据え置き機材やら15万円もするようなヘッドホンやらを製造販売しているメーカーが、こんなものを寄越してくるだなんていったい何を考えているのか
それともコネクタでの劣化をも凌ぐほどの音質改善が期待できるということなのでしょうか
いずれにせよ、説明書の胡散臭さでかなり落ちていた個人的な信用度がこのせいで地に落ちたことは間違いありません
疑問点
さて、効果のほどをご報告する前に気になるところがありましてまずはそちらから
もちろん、こんなことで果たして音が変化するのかという懐疑心もあるのですがそれとはまた別に
まずは公式ホームページからの引用をご覧あれ
ご購入の前に試してみましょう
BPPを試聴されて、効果が良く分からないと言われる方も少なからずいらっしゃいます。それは周波数特性を変化させるような派手な変化ではない事に一因があります。しかし、それだけではなくて個人差があるのかもしれません。ご購入前に次のようなテストをしてみましょう。
音楽、テレビの音、小鳥のさえずり、セミの鳴き声、騒音など何でも結構です。顔の前方から来る音を次の二つの方法で聴きます。
- 両手の手のひらで顔を覆って聴きます。
- 次に手のひらを顔から外して聴きます。
手のひらで顔を覆うと音がぼやけ、外すと音が生き生きしてきませんか?
もし、たいした違いではないと感じられる方はご購入を控えてください。大きな違いを感じられる方は、ご購入される事をお勧めします。
そもそもこのBPPの効果を体感できるかどうかは個人差が大きいため、購入前に簡単なテストを行うことで各自の感じ方を確認した方がいいよということのようです
ちなみにたろは面白いもの見たさからこんなテスト法があるとも知らずに即購入していましたが、テスト結果がどうであれ結局は買っていたので問題はありません
ぶっちゃけこの時点でかなり怪しい感じもしますがもう一つの説明文をどうぞ
効果の確認方法
- BPPを二股コネクターに差込んだり、抜いたりすると確認できます。
- 放射面に厚めの布を被せたり、外したりすると確認できます。
- 放射面を表にしたり裏返しにする。但し、反射しやすい机に向けて裏返すと、反射音が顔に向かってくるので効果確認が難しくなります。ご注意;放射面を指や手で覆うと、その指や手の皮膚で超音波を聴いて音を鮮やかにするので、判別が難しくなります。
- 放射面を顔の後ろにかざしてみると、音場が後ろに後退し、違和感を感じます。(もっとも変化が分かりやすい方法です)
こちらは実際にBPPを購入した際、その効果を確認する方法として放射面を隠したり移動させたりといった作業を行うよう指示している内容なのですが、注目すべきは3項の注意書き
ご注意;放射面を指や手で覆うと、その指や手の皮膚で超音波を聴いて音を鮮やかにするので、判別が難しくなります。
これはつまり特定の部位に限らず指や手といった末端の一部分であっても音を感じることで効果が現れると言っているわけですよね
にもかかわらず、先ほどの事前テストの文中では顔を手で覆うか否かという条件での感じ方の違いを指摘しているのは明らかな矛盾としか言いようがありません
仮に『皮膚で音を聴く理論』が音波を受ける箇所にかかわらず成立するのであれば、顔を手のひらで覆うという手段はテスト方法として不適切ですので、それこそ布や板といったもので遮蔽する方法を推奨するべきです
逆にテスト方法の通り顔面を手で覆うことで違いが感じられるのであれば、BPPの効果確認の際に放射面を指で覆っても何ら問題はないはずです
まあ説明文のどこをとっても疑わしさしか感じませんのでやはりといいますかなんといいますか...
独自の発見と理論に基づいているらしいのですがその割に理論的でないのが面白い限りです
音質
見た目最悪、嵩張るし
まあ色々と思うところがありすぎる製品ですが、結局のところは音が大事ですよね
試しもせずに一蹴する行為ほど馬鹿げたものはありませんし、なにより音質に変化がありさえすれば多少のことには目をつぶれるというものです
それにハイパーソニックエフェクトに関しては詳細こそ未解明なものの超音波の影響はしっかりと観測されていますので、相応の期待もしてしまうというものです
重複になりますが、このメーカーの言いようが胡散臭すぎるせいでオカルト的に捉えてしまいがちなだけであって、着眼点としてはそれなりに意義のあるものだと思ってはいます
ということで、まずは何も考えずに説明書通りにコネクタを挟んで視聴するわけなのですが
わからん
もしかしたら本当に音が変わるのではないかと、ゴマ粒ほどの希望をもって挑みました
確認方法に従ってBPPを抜き差ししたり音波を遮断してみたり位置を変えたりと、それはそれはもうどうにか効果を実感できないものかと試行錯誤を繰り返しに繰り返しました
それでもわからんのです
こうなっては仕方がありません
路線変更です
初心に返ることにします
皆さんにもマニアになる以前の時代が存在したことと思います
オーディオにハマったきっかけはそれぞれでしょうが、はじめっから音の違いが分かった人ばかりではないでしょう
何年もかけて数々のイヤホンや音源を聴いていく中で違いが分かるようになってきた方も多いのではないでしょうか
たろもその一人です
そう考えると今回のBPPに関しても『音を皮膚で感じる』という今までにないアプローチであるが故に、まだ身体や脳が変化に追い付けていないせいでその良さを十二分に体感できていない可能性があるとは考えられないでしょうか
やはり先入観というものは捨て去るべきです
いたるところからにじみ出るオカルト感のせいで疑い半分で接してきましたが、今こそ考えを改めるべき時が来たのです
そんなこんなで心機一転、日常的に使用することにしました
通学時にもお出かけ時にも、自宅でのオーディオタイムでさえも欠かさずBPPを装着し、説明書通りできる限り顔で音波を感じられるようにとしっかりツイーターとにらめっこしてまいりました
そして放射面を気遣ってDAPをずっと手に持ったままなのも面倒になってきたので途中からは延長ケーブルまで購入する始末
ポケットから伸びるケーブルに繋がれた謎の緑色の物体片手にイヤホンで音楽を聴きながら電車に揺られていたわけですから、きっと周りの乗客からは変に思われていたことでしょう
しかし、音質改善を思えばそんなことは苦でもありません
数多の試練を乗り越えて身体中の皮膚という皮膚から超音波を感じ続けることおよそ1ヶ月
そろそろ頃合いかと思い、改めて効果確認を行いました
うっとり音効果に慣れきってしまった耳がいかに肥えているか、それを確かめるためにいざ、BPP無しでの視聴をば
わからん
そうなんです
全くもって違いが分からないのです
1ヶ月の間毎日毎日使用してきました
一日あたり3時間は聴いているはずなので計100時間ほどでしょうか
それだけ継続して体感してなお違いが分かりませんか
こうなるともはや持久戦としか言えないでしょう
ここまできて放り出すのも癪なのでとことん付き合ってやろうではありませんか
若干のやっつけ感が否めませんが、今後ともBPPを使用していくほかないようです
とりあえずは今年いっぱい、残り2ヶ月ほどの継続使用を目標に掲げてまいりたいと思います
これで効果が見られないようでしたらさすがに諦めましょう
まとめ
やはり音楽というものには信仰心が必要不可欠なのでしょう
初めから疑ってかかっていたものですから、きっと神が最高音質を授け賜らなかったのです
自らの手だけでは音を磨き上げることが不可能であると痛感させられました
これまでの行いを悔い改め、考えを正していくことこそが真の音楽への近道なのかもしれません
我が耳に神のご加護が在らんことを